よいこの低学年向け数学ひろば

よくわかる慣性モーメント

第0章―慣性モーメントの概念

初めに(20210619)

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回転運動のエネルギー

ある剛体(物体の任意の2点間の距離が変化しないもの)の運動エネルギーは、

運動エネルギーの式K2020年版

と表され、角速度θドットomega、つまり角速度と置けば、

 

運動エネルギーK

 

 

運動エネルギーK

運動エネルギーK


さらに剛体の角運動量(運動量のモーメント)を運動量のモーメントとすれば、

 


運動量のモーメント(角運動量)

 

ここでZ軸を回転軸の主軸として回転運動をするものとします。

 

すると、

運動量のモーメント

極座標表現により次に示す値、


角運動量の極座標表示

これらを上記Z方向の運動量モーメント運動量のモーメントに代入すれば、


Z方向の運動量モーメント

 

 

Z方向の運動量モーメント


 

 

と表現できることになります。

ここで上記の式において回転軸周りの慣性モーメントと置けば次のような結果を得ます。

 

回転軸周りの慣性モーメント

 

以上に示された記号“I”は、回転軸が決まるとその値が決まります。

 

このIを回転軸まわりの慣性モーメントといいます。

 

またさらに先ほどの運動エネルギー運動エネルギーKを考慮すると、和の形の慣性モーメントI表示であること、及びθi=θ(すべての質点に共通)であるので以下の結果が導かれます。

 

 

慣性モーメントの運動エネルギーの式

 

慣性モーメント慣性モーメントIの求め方

次に実際の慣性モーメントIを求める計算として、まず剛体中の微小部分微小部分dvを考えましょう。
  • 微小部分dvと回転軸までの距離 慣性モーメント,計算方法,ヤコビアン,微分積分,重積分,棒,長方形,直方体,円盤,円輪,円柱,半球体,くり抜き円盤
  • 剛体の密度 剛体密度ρ

 

この微小部分の慣性モーメントdIの計算は、

微小部分の慣性モーメントdI

 

より次のようになります。

 

 

微小部分の慣性モーメントdI

 

このdIを剛体全体にわたって足しあげれば慣性モーメント慣性モーメント,計算方法,ヤコビアン,微分積分,重積分,棒,長方形,直方体,円盤,円輪,円柱,半球体,くり抜き円盤は次のようにもとまります。

 

求められる慣性モーメント式I

 

これらの結果により慣性モーメントとは、簡単に説明すれば物体(剛体)の回転のしづらさ、回りだす変化のしにくさを示す物体の物理的な特性のことだと考えることができるでしょう。

 

またさらに別の言い方をすれば回転の方程式といえるかもしれません。

慣性モーメント導出の簡単な例

ex.円盤の対象軸周りに関する慣性モーメントの場合
回転軸が円盤の中心を通り円盤と平行な場合の慣性モーメントの計算過程

 

下の図のような円盤を考えます。


円盤の質量を質量M、半径をRとします。


この場合、後述しますがデカルト座標のカーテシャン座標系dxdyではなく平面極座標を適用しますので微小面積は微小面積要素rdrdθとなります。


 

円盤の慣性モーメント

space

さらにこの場合軸からの距離は、

円盤の重心を通る円盤面に平行な軸からの距離

これらにより微小面積要素dIは、

円盤の微小面積要素

 

これらを積分によって全体をたし上げます。

 

円盤の重心を通る法線面に平行な軸に関する慣性モーメントの積分計算過程

 

円盤の重心を通る法線面に平行な軸に関する慣性モーメントの積分計算過程

 

円盤の重心を通る法線面に平行な軸に関する慣性モーメントの積分計算過程

円盤の重心を通る法線面に平行な軸に関する慣性モーメントの積分計算過程

円盤の重心を通る法線面に平行な軸に関する慣性モーメントの積分計算過程

円盤の重心を通る法線面に平行な軸に関する慣性モーメントの積分計算過程

円盤の重心を通る法線面に平行な軸に関する慣性モーメントの積分計算過程

円盤の重心を通る法線面に平行な軸に関する慣性モーメントの積分計算過程



円盤の慣性モーメント導出結果

よって円盤面内の重心を通る軸に関する慣性モーメントは、

 

円盤の慣性モーメント

 

となります。

 

このサイトは主にこの慣性モーメントの導出の仕方と計算法を中心に解説した内容になっています。

このサイトの趣旨

  • おもに大学初年度の物理学科の学生を対称としていますが社会人や高校生などの一般の方に対しても微分積分の簡単な説明もあるのであまり無理なく読み進めることが出来るかと思います。
  •  

  • もともと他のサイトに入れる予定だったものなのですが容量があまりに大きくなってしまい、この調子だと力学なのかそれとも慣性モーメントのサイトなのかわからなくなってしまいそうだったのであえて領域を分けた次第です。それ以外の理由としては他で運営しているサイトのアクセス解析をざっと見渡してみたところどういうわけか半分以上の訪問者の方が慣性モーメントか、あるいはそれに関連するキーワードの検索によって入ってきているという非常に意外なデータがでていること、さらには個人的に不満におもっていたことの理由として現在(2006年の時点)市販されている力学テキストには一般的にありきたりな物(棒、円盤、球などの剛体における対称軸のみの計算)に関する説明のみであることや、またはシスティマティックな計算法を説明した参考書をあまり見たことがなかったものですので今回あえて自分で作ったノートを参考にちょっとだけ教科書風に記述を加えたものをアップロードした次第です。

 

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