よくわかる慣性モーメント

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慣性モーメントeyecatchイメージ

第0章―慣性モーメントの概念

微分方程式
Differential Equations

A differential equation involves an independent variable, its functions, and its derivatives, and has general and particular solutions.

線形代数
Linear Algebra

Linear algebra is ubiquitous in theoretical physics for those involved in modern science. It is learned in elementary mathematics.

ベクトル解析
Vector Analysis

Vector analysis is the mathematics of physics by vectors. It is an important theoretical concept used in modern physics.

AKJP Prompt
AKJP Prompt

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回転運動のエネルギー

ある剛体(物体の任意の2点間の距離が変化しないもの)の運動エネルギーは、

慣性モーメント,運動エネルギーK

と表され、角速度角速度角速度オメガ、つまり角速度変換式と置けば、

慣性モーメント,カイネティックエネルギー:運動エネルギーの角速度式変換過程

さらに剛体の角運動量(運動量のモーメント)を角運動量(運動量のモーメント:L)とすれば、

慣性モーメント,角運動量和の形

極座標表現により次に示す値、

慣性モーメント,運動量、角運動量の極座標表現

これらを上記角運動量z方向のLの運動量モーメントに代入すれば、

慣性モーメント,角運動量z方向のL導出詳細過程

と表現できることになります。

ここで上記の式において和の形の運動量変換をIと置けば次のような結果を得ます。

慣性モーメント,角運動量の慣性モーメントIへの変換式

以上に示された記号“慣性モーメントI”は、回転軸が決まるとその値が決まります。
この慣性モーメントIを回転軸まわりの慣性モーメントといいます。
またさらに先ほどの運動エネルギー運動エネルギーKを考慮すると、和の形の運動量変換を慣性モーメントIであること、及び角度(すべての質点に共通)であるので以下の結果が導かれます。

慣性モーメント,運動エネルギーと慣性モーメント量Iの複合式

  

慣性モーメント慣性モーメントIの求め方

次に実際の慣性モーメントIを求める計算として、まず剛体中の微小部分剛体中の微小部分dvを考えましょう。

  • と回転軸までの距離

  • 剛体の密度

この微小部分の慣性モーメント微小部分の慣性モーメントの計算は、

慣性モーメント,微小部分dIの慣性モーメント=微小部分の質量×軸からの距離の2乗

より次のようになります。

慣性モーメント,微小部分の慣性モーメント

この微小部分の慣性モーメントdIを剛体全体にわたって足しあげれば慣性モーメント慣性モーメントIは次のようにもとまります。

慣性モーメントIの積分形式表現

これらの結果により慣性モーメントとは、簡単に説明すれば物体(剛体)の回転のしづらさ、回りだす変化のしにくさを示す物体の物理的な特性のことだと考えることができるでしょう。

またさらに別の言い方をすれば回転の方程式といえるかもしれません。

慣性モーメント導出の簡単な例

ex.円盤の対象軸周りに関する慣性モーメントの場合

回転軸が円盤の中心を通り円盤と平行な場合の慣性モーメントの計算過程

慣性モーメント,円盤慣性モーメント図形描画

図のような円盤を考えます。

円盤の質量を質量円盤の質量M、半径を円盤半径Rとします。

この場合、後述しますがデカルト座標のカーテシャン座標系デカルト座標系dxdyではなく平面極座標を適用しますので微小面積は微小面積要素r平面極座標drdthetaとなります。

さらにこの場合軸からの距離は、

慣性モーメント,円盤慣性モーメントの回転軸からの距離

これらによりは、

慣性モーメント,円盤の回転軸から微小部分における慣性モーメントdI

これらを積分によって全体をたし上げます。

慣性モーメント,円盤の回転軸から微小部分における慣性モーメントdIから慣性モーメントIを求めるための積分計算過程
慣性モーメント,円盤の慣性モーメント計算結果

よって円盤面内の重心を通る軸に関する慣性モーメントは、以下のようになります。

慣性モーメント,円盤の慣性モーメント計算結果

このサイトは主にこの慣性モーメントの求め方と計算法を中心に解説した内容になっています。

その他慣性モーメントを学習・理解する上で欠かせない周辺知識について

慣性モーメントの計算および導出をする上で欠かせない前提条件としての筆頭として上げられる微分積分に関する知識をはじめとして、円盤および球や、円柱などの慣性モーメントを求める上で重要な知識となる座標変換に関するヤコビアンについてのその考え方と概念の考察、そして質点系と剛体の運動に関する力学についての知識、さらにはくり抜き円盤や、円錐の頂点、底面の中心点を通りその法線面と平行な軸周り、重心周りに関する慣性モーメントを求める上で重要な平行軸の定理に関しても、前半部分(プルダウンメニューの左側)に示しておいてあります。

上述の内容に関しては以下のリンクから目的のチャプターコンテンツをクリックして閲覧していってください。なお上部ヘッダーのプルダウンメニューからのメニュー展開からは、チャプター以下のセクションコンテンツが表示されますので、そこから目的のコンテンツへ入ることもできます。慣性モーメントを理解する上で欠かせない内容になっておりますので自分の力量に合わせながら十分に活用していきましょう。


微分積分学
微分積分

このチャプターでは微分積分における基本的な計算、一変数関数の積分、2重積分などの重積分に関する例題とその解法などについて詳しく説明していきます。

ヤコビアン(関数行列式)
ヤコビアン(関数行列式)

デカルト座標から極座標、円柱座標などへ移る際に重要な変数変換の式としてヤコビアンがあります。このチャプターではこれについて深堀して考察します。

質点系と剛体の力学
質点系と剛体の力学

質点系とは質点の集まりを意味し、剛体とは有限の大きさがあり変形しない連続体を示します。このチャプターでは質点系と剛体の力学について考察します。

平行軸の定理
平行軸の定理

重心を通る慣性モーメントに対しその慣性モーメントの軸と平行な任意の場所における軸周りの慣性モーメントを求める際に利用される定理になります。

コンテンツラインアップ

現在アップロードされている物体(剛体)の慣性モーメントの種類は今のところ以下のようになっています。ヘッダーのプルダウンメニューからも目的の慣性モーメントのページに遷移させることもできますが、以下のリンクからも目的の慣性モーメントのコンテンツに移動できます。学習、および参照したい剛体のリンクをクリックして閲覧してください。

慣性モーメント,計算,長形板慣性モーメント
長形板慣性モーメント

長方形板の慣性モーメントの導出過程 ━ 辺の長さがそれぞれ2a,2bの厚さを考えない長方形板の重心を通る対称軸に関する慣性モーメントの計算

慣性モーメント,計算,直方体慣性モーメント
直方体慣性モーメント

直方体の慣性モーメントの導出過程 ━ それぞれの辺の長さを2a、2b、2cとした場合の直方体の重心を通る軸に関する慣性モーメントの計算

慣性モーメント,計算,棒の慣性モーメント①
棒の慣性モーメント①

棒の対称軸に関しての慣性モーメントの導出過程 ━ 長さ2aの棒の中点を通り棒に垂直な軸に関する慣性モーメントの導出計算過程

慣性モーメント,計算,棒の慣性モーメント②
棒の慣性モーメント②

棒の慣性モーメントその②の導出過程 ━ 長さ2aの細長い棒の中点を通り棒とαの角をなす直線に関する慣性モーメントの導出過程

慣性モーメント,計算,円盤の慣性モーメント①
円盤の慣性モーメント①

円盤の対称軸に関する慣性モーメントの計算 ━ 半径、質量がの円盤を考えます。この円盤の中心を通りその円盤に垂直な軸の周りの慣性モーメント

慣性モーメント,計算,円盤の慣性モーメント②
円盤の慣性モーメント②

円盤の慣性モーメントその② ━ 円盤の中心を通り、円盤の法線面上の垂直線とαの角をなす直線に関する慣性モーメントを求めます。

慣性モーメント,計算,中空円盤の慣性モーメント
中空円盤の慣性モーメント

中空円盤の慣性モーメントの導出過程 ━ 中空円盤の内半径をa、外半径をbとします。こうしたときの中空円盤の慣性モーメントを求めていきます。

慣性モーメント,計算,円錐の慣性モーメント
円錐の慣性モーメント

円錐の慣性モーメント ━ ある質点間の距離が変化しない円錐の頂点と、底面の中心を通るZ軸周りの慣性モーメントを求めていきます。

球の慣性モーメント

球の慣性モーメントの計算 ━ 球の中心部分となる重心点を通る軸に関する慣性モーメント。考える球体の質量はM、半径はRの均一な球体とします。

円輪の慣性モーメント
円輪の慣性モーメント

円輪の中心を通る対称軸に関する慣性モーメントの計算。極座標系を取り質量はM、半径はa、円周は2πnとしたときのx,y,z軸周りの慣性モーメント

慣性モーメント,計算,球殻の慣性モーメント
球殻の慣性モーメント

一様密度で質量M、外径b、内半径aの球殻の中心を通る慣性モーメントの厚さがある場合と厚さを無視できる場合の慣性モーメントを考察していきます。

円柱の慣性モーメント
円柱の慣性モーメント

円柱の重心を通る対称軸に関する慣性モーメントの計算 ━ 半径がa、高さがlで質量がMとする円柱のxyz軸におけるそれぞれの慣性モーメント。

中空円筒の慣性モーメント
中空円筒の慣性モーメント

中空円筒の重心を通る軸に関する慣性モーメントの計算 ━ 一様密度で質量がM、半径がa、長さをlとし、円筒の外側の厚さは無視できるものとします。

半球体の慣性モーメント
半球体の慣性モーメント

半球体の重心を通る軸に関する慣性モーメントの導出 ━ 質量がM、半径がaの半球体の重心周りに関する慣性モーメントの計算過程。

くり抜円盤慣性モーメント
くり抜円盤慣性モーメント

くり抜かれた円盤の慣性モーメントに関して、平行軸の定理を利用して目的とする円盤の慣性モーメントの導出に関して詳しく解説していきます。

円錐の慣性モーメント-2
円錐の慣性モーメント-2

円錐の頂点周り、円錐底面に平行で中心点を通る軸周りの慣性モーメント、さらには円錐の重心回りの慣性モーメントについて考察していきます。

このサイトの趣旨

  • おもに大学初年度の物理学科の学生を対称としていますが社会人や高校生などの一般の方に対しても微分積分の簡単な説明もあるのであまり無理なく読み進めることが出来るかと思います。

  • もともと他のサイトに入れる予定だったものなのですが容量があまりに大きくなってしまい、この調子だと力学なのかそれとも慣性モーメントのサイトなのかわからなくなってしまいそうだったのであえて領域を分けた次第です。それ以外の理由としては他で運営しているサイトのアクセス解析をざっと見渡してみたところどういうわけか半分以上の訪問者の方が慣性モーメントか、あるいはそれに関連するキーワードの検索によって入ってきているという非常に意外なデータがでていること、さらには個人的に不満におもっていたことの理由として現在(2006年の時点)市販されている力学テキストには一般的にありきたりな物(棒、円盤、球などの剛体における対称軸のみの計算)に関する説明のみであることや、またはシスティマティックな計算法を説明した参考書をあまり見たことがなかったものですので今回あえて自分で作ったノートを参考にちょっとだけ教科書風に記述を加えたものをアップロードした次第です。

  • 基本的に当サイトでは数学の苦手な方でも理解できることを目的としているので(証明のない数学などはありませんが)わかりづらい表記や説明はなるべく避け、あくまで道具としての数学を習得させることなども目標としています。 内容は慣性モーメントに関する部分だけでなく、最初のほうには慣性モーメントの計算において使用する微分積分に関する簡単な知識、二重積分および三重積分などの重積分法による面積および体積の導出や、平面極座標、極座標、円柱座標におけるヤコビアン(関数行列式)の導出法、さらには力学にちなんだ知識と剛体の重心に関する導出法、またくりぬいた円盤の慣性モーメントや、円錐の頂点、底面の中心点を通る法線面と平行な軸周り、さらには円錐の重心周りの慣性モーメントを求める際に必要になる知識である平行軸の定理などの内容も付け足しておきました。 ページの進め方は上部ヘッダープルダウンより各カテゴリが選択できるようになっており基本的に上から順に読み進めていく感じになります。またヘッダーカテゴリーの微分積分、ヤコビアン…といった部分は慣性モーメントを理解する上での前提条件的な内容でありそこはほぼ蛇足ですので、必要ないという方はヘッダーメニューの“慣性モーメント計算”のほうから閲覧していってください。ちなみにヤコビアン(関数行列式)の導出における行列式の解法は一般的にはサラスを使いますが当サイトにおいては行列式展開法という手法を提示してあります。この計算式の手順に関しては、リンクしてある姉妹サイト“よくわかるベクトル解析”、または“線形代数”のほうを参照なさってください。

無断盗用の禁止事項に関して

近年当ドメインコンテンツの盗用サイト、動画(youtbe)が見受けられます。当サイトにおける文章や画像といったその他も含むコンテンツ関連に関しては無断転載することを一切禁止します。明らかな盗用と思われるものに対しては、法的処置を行います。また引用する場合は必ずバックリンクを貼るなど社会人としての最低限のマナーとルールは守るようにしてください。

お知らせ

  • 2024/06/29 ゾーン情報変更不備が原因による不具合が2日ほど継続しておりました。現在は復旧しております。謹んでお詫び申し上げます
  • 2024/05/18 SELinuxに対応しました
  • 2024/05/17 VPSへマイグレーションしました
  • 2023/12/23 円錐の底面、頂点、重心周りの慣性モーメントコンテンツ追加しました
  • 2006年より運用開始

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お知らせ


積分の式においての微小面積要素dsは全セクションにおいて示された極座標とデカルトの2種類が挙げられ、どちらを使って求めるかは求める面積の形によってうまく使い分ける必要があります。こうしたことを前提に、次に示される図形の面積を二重積分の式を使って求めてみましょう。


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