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変数変換とヤコビアン(作成中)

変数変換とヤコビアン

初めに(20210619)

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ある座標系(q1, q2)を他の座標系(Q1, Q2)へ変えるとき、

ヤコビアン(関数行列式)

 

という式が成り立ち、右辺の絶対値で囲まれた部分を具体的にヤコビアン、またはヤコビ行列さらには関数行列式などと言ったりします。
このエントリーでは座標変換に置けるヤコビアンの意味とその役割とは何なのかという事に関して考察していきます。

 

ヤコビアンとは

ある座標系から別の座標系へ対応させた場合、変数変換を使ってその微小面積要素に対してどの程度のスケール変換量をスカラ倍させれば同値になるのかを求めるものにヤコビアンと呼ばれる数学テクニックがあります。

 

具体的な例として次のような変数変換における重積分の公式は以下のようになります。

変数変換における重積分公式

上記式の絶対値で囲まれているヤコビアンJがそのヤコビアンに当たります。

 

一般的に座標系といえばx, y座標系で与えられた場合、通常デカルト座標系といったものを使うと思います。

 

ここでそのx, y座標系座標系に対して新たにφ, ψ座標系といった関数を考えてその変数をu, v座標系と置き、それが変数x, y座標系とは可逆的な関係であるとして次のような式を考えることにします。

関数φ

関数ψ

 

上記の関数においてx-y平面上平面上の点x, y座標系u-v平面上平面上のu, v座標系に対応するとした図形を考えた場合、一般的にこれを写像という呼び方をします。

 

x-y平面上平面上の点デカルト座標系のA点を起点にした横の長さデカルト座標系長さdx、縦の長さがデカルト座標系長さdyの長方形の微小面積デカルト座標系の微小面積dxdyを考えてその頂点をそれぞれデカルト座標系の微小面積dxdyの頂点A,B,C,Dとして、次のような微小面積、

 

デカルト座標系の微小面積dxdyの幾何学的な意味

 

この微小面積における長方形の面積をデカルト座標系の微小面積dxdyの幾何学的な意味と置くことにします。

座標系におけるΔx、Δyのdxdyへの近似

上の図においてx-y平面上平面上の点x, y座標系u-v平面上平面上に落し込んでいった場合、ひしゃげた形の平行四辺形といった形になります。

 

そこで次のように新座標系におけるΔu、Δvといった変化量が近似的に次のような関係性を持っていると考えます。

座標系におけるΔx、Δyのdxdyへの近似

 

このように考えた場合、それぞれにおけるx, y座標系u, v座標系で全微分を施すと次のような式が求まることになります。

dxのu, v座標系での全微分

dyのu, v座標系での全微分

 

x-y平面上平面からu-v平面上平面上にそれらを落とし込んでいった場合、ひしゃげた平行四辺形になりますが先ほどのΔx?dx, Δy?dyにおけるdxdyの微小量の面積が限りなく0に近づいていくものと考えます。

 

そうすると最初はひしゃげた平行四辺形がだんだんと以下のような平行四辺形になっていくと考えられます。

u-v平面上での写像

ヤコビ行列式の幾何学的な説明

ヤコビアンの幾何学的な意味を考える場合、まずx-y平面上平面上の点における微小な四角形としたデカルト座標系における微小な四角形dxdyの頂点デカルト座標系における微小な四角形dxdyの頂点A(0,0)から始まる面積素分をデカルト座標系における微小な四角形dxdyの面積Sとし、これに対応するのがu-v平面上平面上におけるその面積を写像座標系における微小な面積S’と置きます。

 

さらにここでx-y平面上平面上の微小面積素分をデカルト座標系における微小な面積Sの面積素分d(x, y)とし、またu-v平面上平面上の面積素分を写像座標系における微小な面積S’の面積素分d(u, v)とします。

 

そうするとデカルト座標系における面積素分S写像座標系における微小な面積S’といった面積素分どうしは写像といった対応関係があるので次のような相似関係式が導かれることになります。

デカルト座標系における面積素分Sと写像系座標における面積素分S'の相似関係式

 

上記相似関係の式に関して次のように式変形をしていきます。

 

写像関係にある面積素分どうしの相似関係式

 

結果として次のような関係式が求まります。

写像関係にある面積素分どうしの相似関係式

 

ここで求められた式をよく見てみると左辺の分数部分になっているところはデカルト座標系における微小な四角形dxdyの面積Sに対して写像座標系における微小な面積S’がどの程度の比率になっているかを示していることがわかります。

 

右辺に関しては変数が多変数になり絶対値を取ってさらに変形すれば以下のような関係式が求まることになります。

写像関係にある面積素分どうしの相似関係式

 

上記式において右辺の絶対値を取るのは対応する座標系に対してその値を合わせるためになります。
そしてデカルト座標系における微小な四角形dxdyの面積S写像座標系における微小な面積S’を元の微小量変化量に戻せば次のような関係式が導かれることになります。

座標変換における面積素分同士の関係式

 

上記関係式はx-y平面上平面上の微小面積部分の図形デカルト座標系における微小面積の各頂点A,B,C,Du-v平面上平面上における写像にて写し出された場合における関係性を示すものであり、デカルト座標系における微小な四角形dxdyという面積素分がu-v平面上平面上においてどの程度のスケール変換量になっているかを表しています。

 

そして、右辺の絶対値で囲まれた部分は、単刀直入に言えばu-v平面上平面上における平行四辺形の面積素分になります。

u-v平面上座標系の平行四辺形の面積を求める

x-y平面上平面上の点x, y座標系u-v平面上平面上のu, v座標系に対応させた場合における新たな座標系の微小面積写像系dudv座標変換が等しくなるべくどの程度のスカラー量を作用させればいいかという変換率そのものはu-v平面上平面上における平行四辺形の面積を示していることがわかりました。

 

次にこの新しい座標系におけるその平行四辺形の面積を求めていきます。

 

デカルト座標系における微小な四角形dxdyの面積Sデカルト座標系における微小面積dxdyに関するその座標点は原点のデカルト座標系における微小面積dxdyの原点A(0, 0)を基準にして次のようになります。

 

デカルト座標系における微小面積dxdyの各座標点

 

これに対し、新しい座標系におけるu-v平面上平面上の微小面積写像座標系における微小な面積S’における各点の座標は、

デカルト座標系におけるdxの全微分デカルト座標系におけるdyの全微分

 

であるので、変換後座標系における各点A',B',C',D'の座標点は以下のようになります。

 

変換後座標系における点A'

 

変換後座標系における点B',D

 

変換後座標系における点C'

 

先ほどの平行四辺形の図においてそれぞれの座標点も組み入れれば次のような位置関係になっていることになります。

座標変換後の写像系面積の極限まで小さくしていった場合の平行四辺形

 

ここからは上図の平行四辺形の面積を線形代数における解析幾何によって求めていきます。

 

この時において必要になるのが次の3点になります。

平行四辺形の3点の各座標点の値

この3点を使って図のu-v平面上平面上の平行四辺形の面積を求めていきます。

 

先ほどの平行四辺形の面積は線形代数における解析幾何によって次のようになります。

 

平行四辺形の3点の各座標点による平行四辺形の面積行列式計算

 

ただしここで(あくまで)便宜上、(多変量ヤコビアンの)理解を促すためのものとして次のように置くことにします。

平行四辺形の3点の各座標点による平行四辺形の面積行列式計算

 

これに先ほどの値を代入してこの行列式の計算をしていくことにします。

平行四辺形の3点の各座標点による平行四辺形の面積行列式計算

 

代入すると上記のようになりますが、通常の行列式計算では上のほうから余因子展開していきますがここでも便宜上、かつ計算の簡略化のため行列式の性質より次のように展開して計算していっても特に問題はありません。
平行四辺形の3点の各座標点による平行四辺形の面積行列式計算

 

平行四辺形の3点の各座標点による平行四辺形の面積行列式計算

平行四辺形の3点の各座標点による平行四辺形の面積行列式計算

平行四辺形の3点の各座標点による平行四辺形の面積行列式計算

space
となるので次のような式が導かれることになります。

平行四辺形の3点の各座標点による平行四辺形の面積行列式計算結果

これらの結果によって結局のところ右辺の絶対値で囲まれた部分はスケール変換率に相当する2変数におけるヤコビアン、

2変量ヤコビアン

の値に相当することがわかります。

 

変数変換ヤコビアンによる具体的な座標変換における計算例

具体定期な例としてここでは2変数変換における座標変換で平面極座標を取り上げます。
まず、上記の結果によって導き出された2変数におけるヤコビアンを使った座標変換によるある座標系座標変換(q1、q2)から考える別の座標系座標変換(Q1、Q2)への変換を考える場合、以下のようなヤコビ変数変換をとるものと考えられます。

ヤコビアンによる座標変換

 

ヤコビアンによる座標変換

 

上記座標系において点デカルト座標系における点Pの位置はx=rcos thetax=rsin thetaなのでその距離は、

 

polar coordinate distance r

考える座標系は距離distance rdistance thetaによって決められると考えた場合、その座標系はcoordinate x, yという座標系に対してどの程度のスケール変換率によって与えられるかということを考えます。

 

coordinate x, y → r theta

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